秋から初冬にかけて、お茶の花が咲きます。
お茶の花は筑後市の市花であるサザンカと似ています。
お茶の花もサザンカもツバキ科の植物なので
葉っぱや花のも咲く時期も似ています。
お茶の花は500円玉程度の大きさで、
花びらは白く、黄色い雌しべで可愛い花です。
お茶農家としてはなるべく咲かないように手入れをします。
花が咲くのは人を楽しませるためではなく、
種を実らせて次の世代に命を繋げるためであり、
裏を返せば、本来であれば伸びて葉を茂らせる芽が、
花芽に変化することで花が咲くので、木が弱ってきた証拠なのです。
夏の高温、水不足、肥料や土の栄養分の不足、
病気や害虫による被害などで木が弱っていくと
花がたくさん咲くようになります。
特に注意が必要なのが水不足と肥料不足。
夏から秋にかけて雨が少なく水不足になったり、
肥料が不足すると芽が花芽に変化しやすくなるので、
夏場は特に太陽が沈んだ夜中に一晩中スプリンクラーでの散水で土中にたっぷり水分を浸透させます。
当店では摘んでも製品化せず、摘みながらその場に捨てていく秋の3番茶摘み、冬の4番茶摘みの時期にも、肥料振りの仕事は続くのです。
来年の一番茶摘み、二番茶摘みのお茶を美味しく育てるために。
お茶の木は植物なので全く花が咲かないわけではありません。
どんなに手入れをしていても毎年花は咲きます。
問題なのは花の量で、少しの量ならば健全に育ってくれたサイン、
たくさん咲いていると木が弱っているサインとして認識しています。
また、これからの霜が降りる季節になると花は枯れます。
しかし、栄養も水分もたっぷりで強い新芽を伸ばす芽は、
気温の低下とともに寒さに強くなっていきます。
花や花芽は寒さに強くはなりません。
なので、お茶畑に咲くお茶音花は、少なく貴重な花なので、
見かけたら観察してみてください。
摘み取ってもらっても全然かまいません。